2007年4月29日日曜日

バイオガソリンの増産 食糧問題の引き金になる可能性も

先日このバイオガソリンが引き起こすかもしれない「食料問題」について話題に触れましたが、こんな詳しい記事がありましたのでご紹介します。


 バイオエタノールをガソリンに3%混ぜたバイオガソリンの試験販売が、首都圏で27日から始まった。有力な地球温暖化対策として期待される代替燃料だが、原料が穀物のため、増産は食糧問題の引き金にもなりかねない。草や木、建築廃材を原料にする研究も進められているものの商用化までの道はまだ遠く、不安材料もある。

 バイオエタノールは、温暖化の主因の二酸化炭素(CO2)を取り込んで成長する植物が原料。燃焼時にCO2は出るが、地球全体のCO2を新たに増やすことにならないとして、注目されるようになった。
 このため、米国では昨秋から主要原料のトウモロコシ価格が急騰。今年に入り、トウモロコシを飼料とする牛や豚、鶏の肉の価格高騰もうわさされるようになった。すでに米国産トウモロコシの2割がエタノール生産に回ったとの統計もある。

 住友商事が注視するのは、米国中西部のトウモロコシ生産地帯の今後の天候だ。
 トウモロコシ相場は昨夏の1ブッシェル(約35リットル)=2.5ドルが、今年2月には4.3ドルに上昇。4月に3.5ドルまで下がったが、天候が悪く作付けが不調なら再上昇し、高値で安定する恐れがある。その場合、畜産農家は家畜の飼育頭数を減らさざるを得ず、食肉価格にも跳ね返ることになる。

 日本では食糧以外の草や木、廃材からエタノールをつくる方法を研究しているが、大量生産には、技術革新が必要で、経費面の課題も大きい。

2007年4月27日(金)朝日新聞

バイオガソリン、27日から販売 首都圏の50カ所で

 首都圏50カ所のガソリンスタンドで、27日から植物由来のバイオエタノールが混ざった「バイオガソリン」の試験販売が始まることになり、26日早朝、新日本石油の根岸製油所(横浜市)から各スタンドに向け、バイオガソリンが出荷された。

大手石油メーカーなどでつくる石油連盟の取り組みで、バイオガソリンをこれほど広域で一般向けに販売するのは初めて。10年度からの全国販売を目指す。


 バイオエタノールはサトウキビやトウモロコシなどからつくる。燃焼時に出る二酸化炭素は、もともと大気中にあるものを植物が吸収したものとして、大気中の二酸化炭素の総量は増えない計算となる。脱石油、地球温暖化対策の一つとして注目され、ブラジルやアメリカ、中国、欧州などが積極的に導入している。国内では本格的な生産が始まっておらず、フランスで小麦からつくったものを輸入した。


 今回、同連盟が採用したのはバイオエタノールをETBEという物質に変えてガソリンに混ぜる方式。ブラジルやアメリカなどエタノール先進国は、ガソリンに直接混合する方式をとっている。
 バイオ燃料をめぐっては、ブームとなる半面、原料となるトウモロコシなどの価格上昇や食糧難につながることを懸念する指摘も出ている。


 販売が始まるのは東京都15カ所、神奈川県15カ所、埼玉県11カ所、千葉県9カ所の計50カ所のスタンド。レギュラーガソリンを選ぶとバイオエタノールが3%混じったバイオガソリンが入る。

 連盟によると、バイオガソリンとレギュラーガソリンを混ぜても問題はないが、エタノールの発熱量はガソリンの60%程度なので、3%のエタノールが入った分、計算上は1.2%だけ燃費が落ちることになる。だが、例えば停車中のアイドリング停止などの工夫でカバーできるほどだという。

 今回の試験販売は08年度まで。バイオエタノールを混ぜると実際には割高となるが、試験販売中はレギュラーガソリンと同じ値段で売る。10年度からの全国販売では、レギュラーより値段が高くなる可能性もある。

 同連盟の渡文明会長は「バイオガソリンを使うことで、地球温暖化問題に対する消費者の意識が高まればうれしい」と話している。

2007年04月26日 朝日新聞

バイオガソリン、首都圏で販売開始

バイオガソリンの試験販売がついに首都圏で開始されました。

環境にやさしいと「エコロジー」を唱えるそのウラに、食料飢餓の問題も浮かび上がっています。
皆さんはどうお考えでしょうか?


植物からつくるバイオエタノールを混ぜた「バイオガソリン」の試験販売が27日、首都圏50カ所のガソリンスタンドで始まった。世界規模で地球温暖化が進むなか、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出を抑制するのが狙いだ。石油元売り大手などで組織する石油連盟は、平成22年度に全国4万8000店すべてのガソリンスタンドで販売する。
 この日、試験販売を始めた東京都杉並区のセルフスタンドでは、木をあしらったバイオガソリンの共通デザインののぼりが立てられ、環境に優しいことを強くアピール。給油にきたドライバーにはおおむね好評で、東京都練馬区に住む会社員、茂木修さん(25)は「選べるのであれば、バイオガソリンを選びたい」と話していた。
 バイオガソリンは、バイオエタノールを加工した添加物「ETBE」をガソリンに7%混入したもの。試験販売は、既存設備への影響や貯蔵時の漏洩(ろうえい)などの問題が起こらないかを調査する実証実験的な意味があり、価格はレギュラーガソリンと同じにして販売する。試験販売するスタンドは20年度は100店、21年度は1000店へと順次、拡大する計画だ。
 バイオエタノールも燃やせばCO2を排出するが、もともと植物が成長する過程で吸収した大気中のCO2が再び放出されると考えられるため、新たなCO2排出量はゼロとみなされる。環境対策としてだけでなく、原油価格高騰に伴う石油代替燃料として世界的に注目されている。
(2007/04/27 12:35)

バイオガソリン 一過性で終わらぬよう

バイオガソリンの試験販売が首都圏で実施されました。これについては色々と賛否両論な意見が飛びかっていますが、燃料の原料がトウモロコシであることから「食料飢餓」の問題もあげられている。

果たして先進国のエゴではないか?との意見も出ていますが、とても良い分かりやすく良い記事を見つけましたので、ご紹介させていただきます。


 一時のブームにすぎないのではないか。きのう首都圏で始まった「バイオガソリン」の試験販売には、そんな懸念が付きまとう。
 二酸化炭素を吸収して育つサトウキビや穀類を発酵させてつくるアルコールの一種、バイオエタノールがここ数年、地球温暖化防止につながる新燃料として、にわかに注目を集めてきた。京都議定書では、植物に由来する燃料を消費しても二酸化炭素の排出量を差し引きゼロとみなすからである。
 この分野での先進国、ブラジルをはじめ米国や欧州各国などで広く実用化されている。今回、日本も遅ればせながら実証試験に着手した。

 バイオエタノールをまずガソリンに混ぜ、バイオガソリンとして使うという試みは妥当だろう。国内では石油消費に占める輸送用燃料のウエートが高まるばかりで、二〇〇五年度には39・6%にも及んだ。マイカー利用者への啓発も含め、石油依存度を抑える効果は十分期待できる。
 しかし、混入方式をめぐっては石油元売り各社と環境省との足並みがそろっていない。業界と密接にかかわる経済産業省や、バイオエタノールの生産拡大を農用地の有効活用などに結びつけたい農水省もからんで、お定まりの省庁対立がスムーズな本格普及の妨げになりそうな気配である。
 ここにきて、バイオエタノールの温暖化防止効果そのものに対する異論が出始めたとの報道もある。穀物などの大量栽培には農業機械を動かす燃料が欠かせないし、関連プラントの稼働も石油に頼っているというわけだ。温室効果ガス排出との因果関係を見極めるため、あらためて詳細なデータの解析が必要だろう。

 ガソリンに混ぜるバイオエタノールは、フランスから輸入する。元売り各社はバイオガソリンの販売を全国展開する一〇年度以降、国内生産を計画している。その準備はどこまで整っているのかはっきりしない。貴重な石油代替燃料だとしても、輸入主体では輸送用燃料の消費などが抑えられず、温暖化防止効果は半減する。

 燃料としての需要増に伴い、穀物類の国際価格が急騰しているのも気掛かりである。市場原理が優先され、食料不足をきたすようなら本末転倒だ。
 二年の試験販売期間中も関係機関は必要な調査研究を重ね、多くの疑問に答えるべきである。一過性で終わらせないために。

'07/4/28 中国新聞

2007年4月28日土曜日

バイオガソリンとは?

バイオマスに由来して、生物化学的に製造されたガソリン類似の燃料のことをいう。

一般的には、エチルターシャリーブチルエーテル
?ETBE)のことをさすことが多い。

空気と混合して、圧縮 点火というプロセスである
ガソリンエンジンに使用するための燃料である。

ディーゼルエンジンには、点火プラグはない。そのために一般にはガソリン燃料と軽油に代表されるディーゼル燃料とは区別される)

石油石炭のような化石燃料ではないことを強調するために、バイオアルコール由来のジメチルエーテルDME)や、天然ガス由来の液体成分(GTL?)のようなディーゼルエンジンに使用される燃料まで含めてさすこともあるので注意が必要。

一般的な
ガソリンエンジンは、オットーサイクル機関が採用されている。マツダロータリーエンジン方式やミラーサイクル機関という方式を開発してきた。トヨタハイブリッドカーであるプリウスには、アトキンソンサイクル機関という方式が採用されている。