2007年4月29日日曜日

バイオガソリン 一過性で終わらぬよう

バイオガソリンの試験販売が首都圏で実施されました。これについては色々と賛否両論な意見が飛びかっていますが、燃料の原料がトウモロコシであることから「食料飢餓」の問題もあげられている。

果たして先進国のエゴではないか?との意見も出ていますが、とても良い分かりやすく良い記事を見つけましたので、ご紹介させていただきます。


 一時のブームにすぎないのではないか。きのう首都圏で始まった「バイオガソリン」の試験販売には、そんな懸念が付きまとう。
 二酸化炭素を吸収して育つサトウキビや穀類を発酵させてつくるアルコールの一種、バイオエタノールがここ数年、地球温暖化防止につながる新燃料として、にわかに注目を集めてきた。京都議定書では、植物に由来する燃料を消費しても二酸化炭素の排出量を差し引きゼロとみなすからである。
 この分野での先進国、ブラジルをはじめ米国や欧州各国などで広く実用化されている。今回、日本も遅ればせながら実証試験に着手した。

 バイオエタノールをまずガソリンに混ぜ、バイオガソリンとして使うという試みは妥当だろう。国内では石油消費に占める輸送用燃料のウエートが高まるばかりで、二〇〇五年度には39・6%にも及んだ。マイカー利用者への啓発も含め、石油依存度を抑える効果は十分期待できる。
 しかし、混入方式をめぐっては石油元売り各社と環境省との足並みがそろっていない。業界と密接にかかわる経済産業省や、バイオエタノールの生産拡大を農用地の有効活用などに結びつけたい農水省もからんで、お定まりの省庁対立がスムーズな本格普及の妨げになりそうな気配である。
 ここにきて、バイオエタノールの温暖化防止効果そのものに対する異論が出始めたとの報道もある。穀物などの大量栽培には農業機械を動かす燃料が欠かせないし、関連プラントの稼働も石油に頼っているというわけだ。温室効果ガス排出との因果関係を見極めるため、あらためて詳細なデータの解析が必要だろう。

 ガソリンに混ぜるバイオエタノールは、フランスから輸入する。元売り各社はバイオガソリンの販売を全国展開する一〇年度以降、国内生産を計画している。その準備はどこまで整っているのかはっきりしない。貴重な石油代替燃料だとしても、輸入主体では輸送用燃料の消費などが抑えられず、温暖化防止効果は半減する。

 燃料としての需要増に伴い、穀物類の国際価格が急騰しているのも気掛かりである。市場原理が優先され、食料不足をきたすようなら本末転倒だ。
 二年の試験販売期間中も関係機関は必要な調査研究を重ね、多くの疑問に答えるべきである。一過性で終わらせないために。

'07/4/28 中国新聞

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